ある日、クリビーは家でテレビを見ていました。
今、やさい星の子供たちに人気の番組『ジャンキー・スーパーキッズ』というアニメです。
主人公のポテトチップスのキャラクター『チップス』少年と、
飴玉の女の子『キャンディ』、そしてコーラの男の子『コークン』の3人が登場します。
アニメの中でこの3人が楽しく遊んでいる様子は、やさい星の子供たちの憧れなのです。
今日は3人が森の中に秘密基地を作るというお話でした。
それを見たクリビーは、もう、自分たちも秘密基地を作ってみたくて、うずうず、大興奮していました。
クリビー「(明日、さっそくモモビーとネギーンに相談しよう!)」
クリビーはそう思ってワクワク、明日になるのを楽しみにしていました。
そして次の日・・・
クリビー、モモビー、ネギーンの3人はまたいつもの広場に集まっていました。
3人の会話は昨日の『ジャンキー・スーパーキッズ』の話題で持ちきりです。

クリビー「それでねー、僕たちも秘密基地を作れないかなと思って!」
モモビー「おれっちたちの秘密基地!?めっちゃいいじゃん!!!」「すぐに作ろうぜ!」
ネギーン「賛成です!・・・でも、秘密基地ってどうやって作るんですか?」「ジャンキー・スーパーキッズの3人は簡単に作ってましたけど、あれはアニメだからです。」
クリビー「僕もそれを相談しようと思ってたんだ。」「木の上に家を作って、ハシゴを付けたりしたいんだけど、どうしたらいいんだろう・・・?」
3人ともしばらく無言になりました。
それぞれ少し考えてみたものの、いい方法は思いつきませんでした。
そしてネギーンが最初に口を開きました。
ネギ―ン「まず、第一に材料が必要ですね。木材とか杭(くい)とかロープとか・・・」「それに、それを運んだり、組み立てたりする力も必要です。」「他にも、大工さんが使っているようなノコギリとかハンマーとか道具も・・・」
モモビー「はいはいはい!!!おれっち、いいこと思いついた!」
クリビーとネギーン「何何何???」
モモビーはニヤリとして言います。
モモビー「いいから、ついてきな!」
そう言い、モモビーは歩き始めました。
モモビーに続き、クリビー、ネギーンは町の外れの方へ向かって歩いています。
町の外れにあるものといえば・・・
それは、ナスビー博士の研究所です。

モモビー「着いたー!」
3人はしばらく歩くと、ナスビー研究所の前に到着しました。
クリビー「モモビー、ここってナスビー博士の研究所でしょ?ここに来て一体どうするの?」
モモビー「決まってるだろ?」「子供だけじゃできないことは、大人に頼むしかない!」
クリビー「そういうことか!」
ネギーン「それにしても、ナスビー博士の研究所って感じの建物ですよね。」
モモビー「それって悪趣味ってこと?」
ネギーン「フフッ、それは否定できません。」
クリビー「ははは。」
こうして3人はナスビー博士を訪ね、秘密基地のことを相談することにしました。
ちょうどその頃、ナスビー博士の研究所の中では・・・

なんと、ナスビー博士はテレビを見ながら昼寝をしていたようです。
その横で助手のマルナスが怒っています。
マルナス「ハカセ!今日こそは絶対に掃除をするって言ってたじゃないデスカ!」「そんなところで寝てないで手伝って下さいヨー!」
マルナス助手は右手にホウキ、左手にハタキを持ってキーキーと叫んでいます。
ナスビー「ん〜、ムニャムニャ。」「はっ!あれ?ドラマの続きは・・・いかん!いいところで寝落ちしてしまったぁ!」
マルナスのキーキー声でようやく目が覚めたナスビー博士ですが、掃除よりも途中まで見ていたドラマの続きが気になるようです。
ナスビー「どこまで見たかわからなくなってしもうた!まあいい、もう一度最初から見るか!」
マルナス「も・う・え・え・で・しょ・う!」
ピンポ〜ン
マルナス助手が怒鳴っていると、研究所の玄関の呼び鈴が鳴りました。
クリビーたちが来たようです。
まだ寝起きのナスビー博士はめんどくさそうに立ち上がり、玄関扉の方へ向かいました。
ガチャ・・・

ドアを開けると、クリビー、モモビー、ネギーンの3人が元気よくしゃべり始めました。
クリビー「こんにちは!ナスビー博士!」
モモビー「よっ!おっさん!」
ネギーン「お忙しい中、急にすみません!僕たち、博士に相談したいことがあって来ました!」
ナスビー「ふぁ〜・・・また君たちか。私は今まで徹夜で研究をしていたから眠いのだ。残念だが、今日のところはお引き取りいただこう。」
クリビー「お引き取りいただくって、どういう意味?」
ネギーン「つまり、今日は帰れってことです。」
モモビー「えー!せっかく来たのに!」
その様子を窓から見ていたマルナス助手はすかさず玄関に出てきて言いました。
マルナス「博士は掃除をサボって昼寝をしていただけデース!だから、全然疲れてないデース!」
ナスビー「あ!コラッ!マルナス!余計なことを言うなぁーっ!」
モモビー「なんだ!徹夜はやっぱりウソか!」
クリビー「じゃあ僕たちの相談、少しでいいから聞いてよー!」
ナスビー「ンガー!私はこれから掃除もしなきゃいかんのだ!」
マルナス「ハカセ、どうせ掃除も手伝わないんだから、暇でショ!」「せっかくだし子供たちの話くらい聞いてあげたらいいじゃないデスカ!」
マルナスはそう言ってクリビーたちを研究所の中に入れてくれました。
ナスビー「しょうがないなぁ・・・。」「それで、その、相談って何なんだ??」
博士はしぶしぶ相談を聞いてくれました。
ナスビー「なに、秘密基地を作りたいのか!それは面白そうだね。私も子供のときはよく秘密基地を作ったもんだよ。」

クリビー「それで、木の上に家を建てたいんだ。あと、ロープのハシゴを枝にぶら下げて・・・」
クリビーは作りたい秘密基地のイメージを博士に説明しました。
ナスビー「なに、そんな立派な秘密基地を??それは子供だけじゃ難しいさ!」
モモビー「おれっちたちもそう思ったから大人に相談してるんじゃんか。」
ナスビー「う〜む。そんな大掛かりなものじゃなくて、もっと簡単に作れるもの考えたらどうだい?」
クリビー「簡単に?例えば、どんな?」
ナスビー「それは君たち次第さ。秘密基地に決まりはない!アニメで見た絵に捉われないで、もっと自由に作っていいのさ。」
ナスビー博士が話している中、ネギーンはキョロキョロと周りに散らかっているゴミやガラクタに気を取られているようでした。
モモビー「おい、ネギーン!さっきからソワソワして、おれっちたちの話聞いてんのかよ!」
ネギーン「ご、ごめんなさい!聞いてますよ!・・・でも、すみません、あまりにも部屋が汚すぎて気になっちゃって・・・。」
マルナス「!」「いいこと思いついター!!!」
会話の途中で、マルナス助手は突然飛び跳ねて言いました。
マルナス「ここのゴミやガラクタを秘密基地の材料に使えばいいのデース!」
クリビー「えー!ゴミで秘密基地を!?」
マルナス「そうデース!みなさん、着いて来て下サーイ!」

そう言うとマルナス助手はクリビー、モモビー、ネギーンの3人を部屋の奥の方へ案内しました。そこには倉庫への入り口がありました。
クリビー「『入るな、キケン』って書いてあるけど、入って大丈夫なの?」
マルナス「中に入るのは大丈夫デース!でも、割れ物や先の尖ったガラクタがたくさんあるのでケガしないように気をつけて下サーイ!」
ネギーン「だそうです。みなさん、気をつけて進みましょう!」
モモビー「りょ!」(りょうかい)
5人は倉庫の中へ進みました。そこには、ナスビー博士が捨てずに溜め込んだゴミやガラクタがたくさん置いてあるのでした。

クリビー「うわぁー、なにこれ!すごい量のガラクタ・・・!」
マルナス「そうなんデース!博士は物をなかなか捨てないのデス!それで、気づいたらこんなに溜まってしまったのデース!」
ナスビー「うぐぐ、そうなのだ・・・もしかしたらまた使うかもしれないし、勿体なくて捨てられないのだ・・・!」
ネギーン「それにしても、ガラクタと言っても色々な物がありますね!確かに、秘密基地の材料になるものがあるかもです!」
モモビー「よーし!それじゃ早速使えそうなものを引っ張り出そうぜ!」
マルナス「どうぞどうぞ!どんどんご自由に持って行って下サーイ!」
ナスビー「ちょっと待て!さすがにタダであげる訳には・・・ぐぬぬぬぬ。」
モモビー「なんだよ、おっさんケチ臭いなぁ・・・」
クリビー「そうだよ〜!倉庫が片付くんだからいいじゃない?」
ネギーン「・・・仕方ないですね、ここのガタクタを譲ってもらう代わりに、僕たちで掃除のお手伝いをしましょう!それでいいですか、博士?」
マルナス「おお!それはアリガタイデース!」
ナスビー「う〜む・・・まぁ、それならよしとしよう!」
こうして、クリビーたちは掃除の手伝いと引き換えに博士のガラクタを譲ってもらえることになりました。

せっせ、せっせ、
クリビーとモモビーは欲しいガラクタを外に運び出してゆきます。その間、ネギーンはマルナス助手と一緒に床をキレイにしてゆきます。ナスビー博士も荷物の運び出しを手伝ってくれました。
1時間後・・・
なんと、さっきまでとても散らかっていた博士のお部屋はピカピカに片付きました。

ナスビー「おおおーーー!これは美しい!想像以上にスッキリしたなぁ!」
マルナス「素晴らしいデース!本当に助かったデース!」
クリビー「やったね!」
モモビー「ネギーンは掃除が得意なんだな!ほぼネギーンのおかげだぜ!」
ネギーン「ふふふ、ありがとう!」
クリビー「さて、ここでゆっくりしちゃいられない!早く秘密基地の材料を運ぼう!」
クリビーたちはガラクタ置き場にあったリアカーを使って材料を運ぶことにしました。
つづく
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