【第15話】アジサイタワー#3

おはなし

アジサイの葉の上で元気に動くカタツムリ。その様子を見て、クリビーはこんなことを言いました。

クリビー「ねぇ、僕たちもカタツムリになれないかな?」

モモビー「なんだって!?」

ネギーン「どういう意味ですか?クリビー。」

モモビーとネギーンの2人は、クリビーの顔を見て言いました。

クリビー「カタツムリって、雨でも元気でしょ?」

クリビーは言います。

モモビー「???」

ネギーン「・・・雨でも元気ですけど?」

クリビーの言いたいことがよくわからないモモビーとネギーン。2人とも少し困った顔をしています。

クリビー「だからさ、雨に濡れても気にしないで元気に過ごせばいいんだよ!カタツムリみたいに!」

そう言い、クリビーはいきなりその場に傘を捨て、脇道の方へダダダッと走り出しました。そして、すぐに立ち止まり、その場で飛び跳ねながら踊りはじめました。

クリビー「イッエーイ!」

モモビー「あいつ!バカだ〜っ!」

モモビーは大笑いしてそう言いました。

そして、クリビーのことを笑いつつ、モモビーも一緒になって踊り出しました。

傘を捨てて、雨に濡れながら。

ネギーン「・・・」

ネギーンは、はしゃぐクリビーとモモビーの姿をしばらく眺めていました。

しかし、楽しそうな2人を見て、ついに耐えきれなくなりました。

ネギーン「僕もー!」

ネギーンも傘を手放して踊りはじめました。

わーい、わーい!

クリビー「ハハハハハ!なんだ!雨にあたった方が冷たくて気持ちいいや!」

モモビー「へへへへへへ!ほんとだ、なっ!今まで傘さしてたのか笑えるぜ!」

ネギーン「ふふふふ!楽しいですね!雨なんか気にしないで普通に遊べばよかったんですね!」

3人はちょっとヤケクソになっていたのか、雨に濡れても気にせず、騒ぎまくりました。

次第に自分たちの行動がますます可笑しくなり、笑いが止まらなくなってしまいました。

クリビー「はははははは!楽し過ぎる〜!」

モモビー「へへへへへへ!ほんと、最悪だけど最高だな!」

ネギーン「フフフフフフ!僕こんな笑ったの久しぶりですっ!」

???「デ〜ッヘッヘッヘッ!そだろッ?雨って楽しいだろッ!?デ〜ッヘッヘッヘッ!」

あれれれ?

聞き慣れない笑い声が混ざっているような・・・

クリビー「モモビー、何その変な笑い方!ははははは!」

モモビー「おれっちじゃねーよ!ってことはネギーンか!?おもしれ〜笑い方すんだなっ!へへへへ!」

ネギーン「ちがいますよ〜!僕じゃないですよ〜!ふふふふふって、ことは、、、え!?誰ですか!?」

そこに知らない誰かがいることに気づいた3人は急に冷静になりました。

ふと、目の前を見るとそこには…

クリビー「わーーーーー!!!」

モモビー「ぎゃっ!!!」

ネギーン「お、大きなカタツムリ〜ッ!」

そこには大きなカタツムリのような姿の生き物がいました。

???「デヘヘッ!驚かしてごめんッ!オレの名前は、デンキチ!宇宙を旅するスペース・トラベラーさッ!」

クリビー「すぺーす・とらべらー!?デンキチ!?」

デンキチ「そッ!つまり〜、君たちにとってオレは宇宙人ってことッ!」

クリビー「えー!!!宇宙人!?」

モモビー「おいおいっ!宇宙人って、こんな簡単に会えちゃっていいのかよっ!?」

クリビー、モモビー、ネギーンの3人は、デンキチの言うことを素直に信じ、宇宙人と出会えたことに歓喜しました。

ネギーン「そ、それにしても、どうして宇宙人のデンキチさんが僕たちの星に?」

デンキチ「いや〜、それがサッ、移住先の星を探しててさッ!」

デンキチが言うには、雨とアジサイのある星を探しては、片っ端から巡っていたということです。彼らの種族は、雨とアジサイが大好きなのだとか・・・。

ネギーン「移住先を探してですか・・・!それにしても、デンキチさんって、とてもフレンドリ〜な方ですね!」

デンキチ「デヘへッ!よく言われる。(笑)かっこわらッ。」

クリビー「あの〜、移住するってことは、デンキチさんが前に住んでた星で何かあったんですか?住めなくなった理由とか?」

デンキチはとてもフレンドリーな性格だったため、クリビーも遠慮せず続けて質問してみました。

デンキチ「いや〜、それがさッ、故郷の星にずっと住んでても全然いいよ!全然いいんだけど〜ぉ・・・。オレってさッ、やっぱ旅が好きだろッ?旅が好きっていうかさッ、一つの場所でじっとしてられないっていうかさッ・・・」

デンキチが言うには、故郷の星が危機に瀕していたとか、この星の住人に助けを求めにきたとか、そういうドラマチックなことはありませんでした。

ただただ、デンキチは宇宙を旅するのが趣味で、じっとしていられない性格のようです。

モモビー「なんだぁ〜、宇宙人がやさい星を侵略しに来たのかと思ったぜ!」

モモビーは冗談を言いました。

ネギーン「モモビー、怖いこと言わないで下さい!それにしても、デンキチさんが良い宇宙人でよかったです!本当に!」

クリビー「本当だね!仲良くなれそうで嬉しい!・・・って、ハーーーーックシュンッ!!!」

立ち話している途中、クリビーは大きなくしゃみをしました。

デンキチ「お、お前ら、だいじょぶかッ!?」

クリビー、モモビー、ネギーンの3人は傘を置いてきてしまったので、雨にずぶ濡れでした。

話すのに夢中になっていて、すっかり体が冷えてしまいました。このままでは風邪を引いてしまいます。

デンキチ「よかったらサッ、オレの乗ってきたロケットが近くにあるから、そこで雨宿りしてくかッ?」

クリビー「うん、そうする!ありがとう!」

モモビー「お願いしますっ!」

ネギーン「ありがとうございます!」

クリビーたちはデンキチの提案をありがたく受け入れ、デンキチの後についてゆくことにしました。

デンキチ「サッ、こっちこっち〜!」

デンキチは、アジサイがたくさん咲いている脇道の奥へ奥へと進み、クリビーたちを案内しました。

クリビー「宇宙人が乗ってきたロケットってどんな形なんだろう?ワクワク・・・それより、ハーーーーックシュンッ!!!寒い!」

突然の宇宙人との出会い。これからクリビーたちはどうなるのでしょう。

つづく

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