雨の中、クリビー、モモビー、ネギーンの3人は町外れの方へ歩いて行きました。
町外れにあるものと言えば…そうです、ナスビー博士の研究所です。
クリビー「着いたー!!!ここなら、室内で野球ができるよ!」
モモビー「さすが、クリビー!おっさんの家なら広いしなっ!3人で野球するには丁度いいかもな!」
モモビーが言う『おっさん』とはナスビー博士のことです。当のナスビー博士は失礼な言い方だと毎回モモビーを注意しているのですが…。
ネギーン「ふふふ!家の中で野球なんて、僕そんなこと、思いつきませんでした!クリビーは天才です!」
ガチャッ!!!

ナスビー「誰が天才だって???」
クリビーたちが玄関の前で話していると、突然、勢いよくドアの開く音がしました。
そこには、玄関から出てきたナスビー博士の姿がありました。
クリビー「博士ー!」
ナスビー「君たちの話、全部聞いていたぞ!家の中で野球???とんでもない!!!ここは私の家であり、大切な仕事場だぞ!!!何を考えているんだ!!!」
家の中で野球をやるという話を聞いてナスビー博士は激怒していました。

クリビー「やっぱダメかぁ、、、博士は心が狭い大人だなぁ。」
モモビー「おっさんのいじわるー!」
ナスビー「いやいや!断って当然だろ!」
ネギーン「…たしかに、ここは博士の言う通りですね。僕たちの考えが甘かったようです。」
ナスビー「考えが甘いとかそういう問題じゃないだろー!!まぁいい、ところで君たち、雨で遊ぶ場所がなくて困ってるんだろ?」
クリビー「そうなんだ。博士、こういうときはどうしたらいいかな?」
クリビーは博士にアドバイスをもらうことにしました。
ナスビー「確かにな、室内の遊び場はお金がかかる場所が多いからな。バッティングセンターも、ゲームセンターも。ショッピングするにも、カフェやレストランに行くにもな。なに、図書館も混んでてダメだったのか。そりゃ困ったね。」
クリビー「そうだよ、僕たち子供が一番困ってるんだ。毎日毎日、雨ばかりじゃ、お小遣いが無くなっちゃうよ。」

ナスビー博士「ふ〜む、それじゃ、町のスポーツセンターに行ってみたらどうだ?」
クリビー「スポーツセンター?」
クリビーたちはナスビー博士からの情報で、この町に公共のスポーツセンターがあることを知りました。
そこには体育館やプールがあり、子供は無料で使えるとのことです。
クリビー「わー!そんな場所があるなんて知らなかった!!!早速、行ってみよう!」
クリビーたちはナスビー博士にお礼を言い、博士の研究所を出ました。
傘をさして、長靴を履いて、雨の中、やや早足で移動するクリビーたち3人です。
しばらく道を進むと、広々とした敷地にカッコイイ屋根の形をした大きな建物が見えてきました。

クリビー「ここがスポーツセンターかぁ!」
ネギーン「今度こそ期待できそうですね!」
モモビー「早く行こうぜ!」
3人は入り口を抜け、スポーツセンターの受付窓口へと急ぎました。
クリビー「すみません、僕たちこれから体育館を使いたいんですが、、、」
クリビーは受付の職員に話しかけます。
ところが、、、

受付の職員「ごめんね。今日はどの施設も満員なんだ。」
モモビー「くそー!!!マジかよ!!!」
受付の職員「この時期は雨が多いから、室内が人気でね。早くから予約している人も多いんだ。」
クリビー「そんなぁ、、、せっかく雨の中わざわざ歩いてきたのに。」
ネギーン「僕としたことが…行く前に電話で空きがあるか確認すればよかったですね。」
モモビー「今からそんなこと言っても仕方ねーぜ!こうなったのも『おっさん』のせいだ!」
モモビーはナスビー博士への怒りをあらわにしていました。
クリビー「そうだそうだ!こんなに混んでる場所を教えるなんて博士は無責任だ!」
クリビーもモモビーに便乗してナスビー博士の文句を言いました。
ネギーン「まぁ、それはそうですが…僕たちのために言ってくれたことですから…。」
モモビー「ネギーンは優しすぎるぜ!おっさんは大の大人なんだぜ!?子供に教えたことに責任持たないと!!!」
ネギーン「それもそうですけど…。」
相変わらずナスビー博士には厳しいモモビーとクリビー。
そして遠慮しつつも賛同するネギーンです。
3人は結託してナスビー博士に文句を言いに戻ることにしました。
引き続き、雨は全くやみそうにありません。
それどころかさっきよりますます強くなってきています。
それでも、てくてくてく・・・
さっき歩いてきた道を引き返し、進んでゆきます。
クリビー「あ!」

ふと、道端で何かを見つけたクリビー。
1人立ち止まって、道脇にそれてゆきました。
ネギーン「あれ、クリビー?」
モモビー「ん?どうした?」
クリビーがついてこないことに気づき、モモビーとネギーンは足を止めました。
モモビー「おーい、クリビー、何してんだよ、早く行こうぜー!」
クリビー「2人とも、ちょっと待って!ほら!」

クリビーは道端のアジサイに近寄って、モモビーとネギーンに呼びかけました。
クリビー「見てよ!大きいカタツムリ!」
モモビー「なんだ、カタツムリか!」
モモビーはクリビーの言うカタツムリの姿を見ましたが、あまり驚いていません。
モモビー「おれっち、それくらいの大きさのカタツムリなら何度か見たことあるぜ。」
クリビー「そっかぁ。結構大きい方だと思ったんだけどなぁ〜。」
モモビー「ほら、そっちにも同じくらいの大きさのがいるぜ!」
ネギーン「ほんとですね!、、、というか、カタツムリ、すごくたくさんいますね!」
よく見ると、アジサイの葉の上にたくさんのカタツムリたちがいることに気づきました。

モモビー「いいなぁ、カタツムリは。雨に濡れてもこんなに元気でさ!」
ネギーン「カタツムリはお水が大好きですからね。雨でも元気というより、雨だから元気なんですよ。」
ネギーンの言うとおり、晴れている日に元気に動いているカタツムリを見ることは少ないかもしれません。
彼らは湿った環境でないと乾燥してしまうので、殻にこもってしまうのです。
クリビー「ねー、僕たちもカタツムリになれないかな?」
モモビー「なんだって!?」
クリビーは突然、不思議なことを言い出しました。一体、何を思ってそう言ったのでしょうか?
つづく
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