【第16話】アジサイタワー#4

おはなし

カタツムリの姿をした宇宙人『デンキチ』に出会ったクリビーたち。

雨に濡れ冷えた体を温めるため、近くにあるというデンキチのロケットで雨宿りさせてもらうことにしました。

デンキチ「着いた〜!!ここサッ!」

クリビー「!!!」

モモビー「すげぇ〜、大きなロケット!」

ネギーン「これが宇宙人のロケットなんですね!!!感激です!!!」

そこには、カラフルな光を放つ、巨大な塔が建っていました。

デンキチ「この塔はロケットであり、オレの家でもあるんだッ。アジサイをモチーフにした特注品なんだぜッ。名付けて、『アジサイタワー』!」

ネギーン「なるほど!アジサイタワーは、デンキチさんにとっての移動式住居ということですね!」

それにしても不思議です。

こんなに派手で大きなタワーが建っていたら、誰もがすぐ気づくはず。

クリビーたちもさっきまでこの近くを歩いていたのに、全く気づきませんでした。

クリビー「デンキチさん、すみませんが、早く中に・・・ハーーーーックシュンッ!!!」

デンキチ「おっとッ!ごめんごめんッ!ササッ、早く中に入って!!!」

デンキチが右腕を上げると、突然、アジサイタワーの入り口のような扉が現れました。

デンキチ「どうぞどうぞッ!」

ロケットを見た感動はさておき、寒さに耐えきれなくなったクリビーたちは急いでアジサイタワーの中へと入りました。

クリビー「わーーーーー!!!」

入り口の扉を進んだとたん、クリビーはびっくりして大声を上げました。

なんと、クリビーは空中にフワフワと浮いていたのです。

デンキチ「あッ!言うの忘れてたッ!このタワーの中は無重力になっているんだッ!」

モモビー「すっげ〜!!おれっち、空中を浮いてる!!!」

ネギーン「僕もでーーーす!!!すごいです!!!体がとっても軽いです!!!」

デンキチ「そう、それと、この中は快適センサーが働いて、その人に合った快適な状態にしてくれるんだッ!」

クリビー「快適センサー?・・・あれ、さっきまでビショ濡れだった服がもう乾いてる!」

モモビー「ホントだ!服がくっついてベタベタしてたのに、サラサラで気持ちいい〜!!!」

デンキチが言うに、この快適センサーは暑い、寒い、カサカサ、じめじめ、など、あらゆる不快を取り除いてくれるとのことです。

デンキチの故郷の星は、超越した科学技術を持っているのですね。

ネギーン「アジサイタワー、すごすぎます!」

デンキチ「デヘヘッ!驚いたかな?ササッ、みんな、ちょっと天井の方まで泳いできてッ!」

そう言ってデンキチはタワーの上の方へ、スイ〜ッスイ〜ッと、空中を進んでゆきました。

クリビー、モモビー、ネギーンの3人もデンキチに続いて上へ上へと泳いでゆきます。

3人とも無重力空間を移動するなんて、初めての経験です。

それなのに、上へ下へ、右へ左へ、思い通り、自由に動くことができました。

これも快適センサーの効果なのでしょうか。

空中で回転しても目が回ることなく、タワーの中は常に居心地のよい空間でした。

デンキチ「見てッ!ここがタワーの天井さッ!」

クリビー「すごい!キラキラ光って綺麗だね!」

デンキチ「このドーム型の天井に特別な装置が付いていて、タワーの中ではどこでも、好きな映像を映せるんだ!」

デンキチによると、この空間の中は映画館にもなるし、プラネタリウムにもなると言います。

バーチャル体験やゲームもできるとのこと!

デンキチ「よかったら、タワーの中で少し遊んでいかない??ここでは何でも好きなことができるんだよッ!」

モモビー「まじか〜!やったー!遊ぶ遊ぶーっ!」

クリビー「もちろん!少しと言わず、たくさん遊んでくよ!わーい、わーい!」

ネギーン「ぜひぜび!お言葉に甘えて、心ゆくまで遊ばせていただきます!」

アジサイタワーの中で遊ばせてもらえることになったクリビーたちは大喜びです。

デンキチ「早速だけど、何がしたいッ?」

クリビー「デンキチさん、実は今日僕たち野球をする予定だったんだ。何日も雨続きでなかなか野球ができなかったんだ。だから、待望の野球をしたいんだけど・・・」

デンキチ「野球だね!そんなの全然OKサッ!」

クリビー「やったー!!!デンキチさんも野球を知ってるんだ!?よかったよかった!」

モモビー「うおおおお!雨でもこんなに広い室内で野球ができるなんて!!!」

ネギーン「よかったですね、モモビー!・・・あれだけ雨の中さまよって、最後はこんな素晴らしい場所に辿り着くなんて、感激です!」

クリビーたちはデンキチにお願いして、野球ボールやバット、グローブなどの立体映像を出してもらいました。

バーチャル映像の野球用具、まるで本物を触っているような感覚です。

クリビーたちは大はしゃぎで室内野球を楽しみました。

野球に飽きても、次々と立体映像を出して色々な遊びを楽しみました。

クリビーはカーレースのバーチャルゲームをしたり・・・

モモビーは空中トランポリンをしたり・・・

勉強熱心なネギーンは宇宙の謎についてのドキュメンタリー映画を鑑賞をしたり・・・

それぞれ満足するまで好きなことを好きなだけ楽しみました。

クリビー「最高だーーー!!!こんな場所が近くにあるなら、一生楽しく遊べるね!」

ネギーン「そうですね!雨でもこんなに楽しく過ごせるなんて、、、素晴らしい科学技術です。僕はこの技術のこと、もっと詳しく知りたいです・・・!」

モモビー「ネギーンはホント勉強好きだなぁ〜。こんなときは難しいこと考えないで、素直に遊ぼうぜ!」

クリビー「ハハハハ、たしかに!」

デンキチ「デヘヘへッ!3人とも、楽しんでくれてるみたいで、よかったッ!」

クリビー「あの〜、ところでデンキチさん、僕たちのやさい星は移住先としてどうですか?」

デンキチ「う〜ん、そうだなぁ・・・。」

クリビーがそう質問すると、デンキチは少し悩んでいるようでした。

モモビー「デンキチさん!せっかくおれっちたちと友達になれたんだし、やさい星に住んでくれよ!!!」

ネギーン「そうですよ!ぜひぜひ、ずっとここにいて下さい!やさい星の住人はきっとみんな大歓迎しますよ!」

クリビー「僕もデンキチさんにずっとこの星に住んで欲しいです!宇宙人なのに、僕たちにこんなにフレンドリーに接してくれて、とても嬉しかったし・・・。僕たち、これからもっとデンキチさんと一緒に遊びたいよ!」

デンキチ「う〜ん・・・。」

やっぱりデンキチは何か悩んでいるようでした。

デンキチ「3人とも、ありがとうねッ!少し、考えてみるよ!」

そう答えたデンキチですが、デンキチの気持ちはもう一つに決まっているような感じがしました。

つづく

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