偶然と見せかけ、ナスミさんと仲良くなる作戦を考えていたナスビー博士。
しかし、予期せぬことにシロナス先生の登場で、ナスビー博士はナスミさんとの会話ができずにいました。
その場を密かに見守っているクリビーたち。
クリビー「(どうしよう・・・ナスビー博士、このままじゃナスミさんと仲良くなれっこないよ。)」
ネギーン「(そうですよ!博士、頑張って下さ~い!)」
モモビー「(よーし!今日のところはおっさんを応援するって決めたから、なんかアドバイスしてやるか!)」「(おーい!おっさん!!!このままだとシロナス先生にナスミさん取られちゃうよー!何か話しかけないとっ!!!)」
クリビーたちはナスビー博士だけに聞こえるように言いました。
ナスビー「(わかっとる!よーし!話しかけるぞ!)」
そう言うと、ナスビー博士は、なぜか、ナスミさんではなく、シロナス先生の方に近づいてゆきました。

ナスビー「やあやあ~!シロナス先生じゃないですか!さっきから近くにいるのに、私には挨拶もなしに?女の子と話すのに夢中?ですか?」
ナスビー博士は悪意に満ちた顔でシロナス先生に詰め寄っていきました。
シロナス「わっ!こ、こんにちわ、、、ナスビー博士!すみません、お隣にいらしてたんですね。気がつかなくて、大変失礼しましたっ!」
急に話しかけられてびっくりしているシロナス先生です。
モモビー「(おっさん、話しかけるって、シロナス先生の方に?)」「(何考えてるんだ・・・)」
モモビーは呆れて苦笑いしています。
ナスビー「シロナス先生、いいんですか?こんなところで女の子たちと楽しく遊んでいて?」「病院はどうしたんですか?自分の都合で本日休業ですか?」「看護師さんたちも大変ですね~、上司に誘われたら断れないですもんね~?職権乱用、公私混同ですか?」
ナスビー博士はシロナス先生に嫌みな質問攻めを続けました。
ナスミの同僚1「ちょっと!そこの青ヒゲ・・・いや、青ナスの人!いきなりシロナス先生に向かって何を言うんですか!?」
ナスミの同僚2「そうよそうよ!先生は私たちからお誘いしたのよ!お忙しい中、お仕事の合間を縫ってなんとか来てくださったのよ!」
ナスミ「ナスビー博士、病院のことはご心配なさらないで。看護師たちは交代で勤務していますし、シロナス先生の弟の『ナスのすけ』さんもお医者さんなので、今日は代わりに病院に出てもらっているんですよ。」
ナスビー「・・・ふぐっ!女の子たちからお誘いされただと・・・!?それに、弟も医者だなんて・・・ううう。」「邪魔してやろうと思ったのに、なぜ女の子たちがこんなにフォローに入ってくるのだ・・・羨ましすぎるぅ〜・・・。」
ナスビー博士はショックを受けてその場に倒れ込んでしまいました。

ナスミ「ナスビー博士、大丈夫ですか?ご気分でも悪いのでしょうか・・・?」
ナスミの同僚1「ナスミ、いいから早く乾杯しようよ~!」
ナスミさんだけはナスビー博士を少し心配しているようでした。しかし、同僚の女性に声をかけられ自分たちの輪に戻っていってしまいました。
クリビー「(博士、大丈夫?)」
クリビーは絶望している博士に近づき、話しかけました。
ナスビー「うう、なんで同じナスでも女の子からの待遇がこんなに違うのだ・・・!なに、ちょっと頭が良くて、顔がいいだけじゃないか・・・!」
博士は独りでブツブツ愚痴を言っています。
クリビー「(そういうところなんじゃない?)」
クリビーは呆れていました。すると、
ポツリ・・・ポツリ・・・
雨粒が1つ・・・2つ・・・
そしてすぐさま空の色も暗くなってきました。

クリビーが手を空に向かってかざすと、ピチャリ、ピチャリ、大粒の雨がどんどん降ってきていました。
クリビー「大変だ!雨だ!」
周りの人たちも雨に気づいたようです。みんな慌てて食べ物や荷物をまとめています。
ザー!ザー!
雨は急速に強くなり、すぐにどしゃぶり状態となってしました。
周りの人たちもこの雨に大慌て、大混乱です。

みんな急いでレジャーシートを片付け、その場から退散して行きます。
ナスビー「こりゃ花見どころじゃない!撤収だー!!!」
ナスビー博士も、シロナス医院の人たちも荷物をまとめて帰ろうとしています。
ネギーン「今日の天気予報では雨が降るなんて一言も言ってなかったんですけどね・・・!」
モモビー「ほんとだな!ほら見ろ、誰も傘を持ってきてないぜ!」
ナスビー「そうだ!!!こういうこともあろうかと、私は傘を持ってきたのだ!!!」
モモビー「おお!おっさん、ナイスじゃん!!」
クリビー「博士、このピンチはチャンスだよ!」「早く、ナスミさんを傘に入れてあげて!」「それでお家まで送ってあげたら好感度アップだよ!(?)」
ナスビー「おおお!!!それはいいアイディアだーーーー!!!」「よーし勇気を出してーーーー(ナスミさん!!!)どうぞ、よかったら私の傘に入って下さい!!!」

ナスビー博士は広げた雨傘を差し出し、ビショビショになっている緑色のナスのヘタを内側に入れてあげました・・・
ナスビー「ナスミさ・・・って!わああああああああああああああああ!!!」
ナスビー博士は大声で叫びました。

なんと、博士の傘に入っていたのはシロナス先生でした。
ナスミさんだと思っていた緑色のナスのヘタはシロナス先生の頭だったのです。
シロナス「ナスビー博士、すみません、僕、傘を持っていなかったのでとても助かりました!」「ありがとうございます!」
ナスビー「(なんでお前なんかを傘に入れてやらなきゃいかんのだーっ・・・!)」「ナ、ナスミさんたちはどこへ行ったんですか??」
シロナス「さっき、タクシーを呼んだので従業員たちは先に帰らせました。」「僕は家が近いので、歩いて帰ろうかと思ったんですけど、いやあ~、思ったより強い雨だったので、本当に助かります!」
ナスビー「ぐぬぬ・・・こんなはずでは・・・」
シロナス先生は素直にナスビー博士が親切な人だと思っているようでした。
ナスビー博士はナスの元々の青い顔を更に青くして、シロナス先生と愛愛傘で家の方へ帰ってゆきました。
突然の大雨でサクラが一気に散ってしまったお花見会場のイコイコ公園。
みんな早々に帰り、その場に残されたのはクリビー、モモビー、ネギーンの3人になりました。
3人だけはちゃんとお花見ができなかった心残りで、雨の中その場にたたずんでいました。
モモビー「・・・どうする?おれっちたちもそろそろ帰るか?」
クリビー「そうだね。帰ろうか。」
ネギーン「2人とも、ちょっとだけ待って、ほら!」
ネギーンは空を指さして言いました。よく見ると、西の方の空から少しだけ光が差し込んでいます。
ネギーン「もう少しで雨がやむと思う。」
ネギーンがそう言ってしばらくすると、次第に雨は弱くなってゆきました。
クリビー「ほんとだ!雨、やんだね!」

3人が辺り一面を見渡すと、そこにはサクラのじゅうたんが広がっていました。
サクラの花びらが散り、雨で運ばれ、地面いっぱいに薄ピンク色が流れていったのです。
かすかに差し込む日の光に雨の雫がキラキラと輝いて、とてもきれいです。
ネギーン「きれいですね!」
モモビー「散っちゃったけど、こういう花見もあり?だな!」
クリビー「大変だったけど、お花見って良いね!」
こうして3人はお花見の1日を楽しむことができました。
おしまい
コメント