ピンポ~ン
クリビーの家のドアベルが鳴りました。時刻は夕方の16時。
まだ外は明るい時間です。
クリビーは居留守(いるす)をしようか迷いながら、そっとドアに近づき、覗き穴を見ました。
なんと、そこにいたのは・・・

チンゲン「クリビー!オイラだよ、チンゲンだよー!」
クリビー「えー!?チンゲン君!!!」
クリビーは驚いて、ドアを開けました。
クリビー「チンゲン君、どうしたの!?さっき、友達やめるって言ってたじゃないか!」

チンゲン「そうなんだ。オイラ、そのことを謝ろうと思って来たんだ。ごめんチン。陳謝(ちんしゃ)。」
チンゲン君は急に謝ってきました。でもちょっとふざけているようにも見えました。しかし、家まで来てくれて、クリビーは素直に嬉しく思いました。
謝りに行くというのは思っている以上に勇気がいるものだからです。
クリビー「ううん、いいんだ。でもさ、チンゲン君はどうして、あんなこと言ったの?理由も知りたいな。」
チンゲン「理由は・・・忘れた。」
理由は忘れたと言うチンゲン君。
実はチンゲン君、ちょうどロコロコがクリビーに話しているとき、職員室から教室に戻って来ていたのです。

たくさん友達を作りたいと言っていたクリビー。チンゲン君は、自分が友達になったらクリビーに迷惑をかける、と思ったのかもしれません。
その事情は『忘れた』と言っているチンゲン君ですが・・・。
チンゲン「オイラとクリビー、友達復活ということで、いいか・・・?」
クリビー「もちろんOKだよ!僕らはこれからずっと友達さ!」
チンゲン「・・・ありがとうありがとう。」
チンゲン君は独特な言葉遣いでしたが、クリビーはチンゲン君との友情を受け入れることにしました。
チンゲン「クリビー、お詫びと言ってはなんだが、見せたいものがあるのだ。ちょっと、オイラについて来てくれないか?」
クリビー「え!何かな?チンゲン君、どこに行くの?」

そう言いながらチンゲン君は歩き始めました。
チンゲン「・・・これから行くのはオイラの秘密の場所なのだ。」
クリビー「秘密の場所?」
クリビーはチンゲン君の後ろへついて行きます。
チンゲン「本当は誰にも教えなくないが、クリビーは友達だから特別だチ〜ン。」
チンゲン君に連れられ、クリビーは大きな川のある山辺の方へ向かい歩いてゆきました。

日が沈み、空はだんだん暗くなってゆきました。
クリビー「ねえ、チンゲン君。もう暗くなってきてるけど、危ない場所じゃないよね?帰れなくなったら、さすがに嫌だよ!」
チンゲン「大丈夫大丈夫。」
クリビーは少し心配になりそう聞いてみましたが、大丈夫というチンゲン君。
クリビー「不安だなぁ・・・。」
ジャガイモ太たちから聞いた噂のこともあり、もしかして虫がいっぱいいるところに連れて行かれるのではないかと思ってしまったクリビーでした。
クリビー「ねえ、チンゲン君。もしかして、今から行く秘密の場所って、虫がいっぱいの場所じゃないよね?」
チンゲン「!」
クリビーは思い切って、思ったことを直接聞いてました。
チンゲン「そうだよ!なんでわかったの?秘密の場所は、虫がブーンブーン♪いっぱいいるのだ!」
クリビー「ゲー!!!本当にー!!!?」
チンゲン「ふひひ。クリビー、きっとビックリするよ、ブーンブーン♪」

クリビー「やだー!!!虫いっぱいなんて!!!チンゲン君、やっぱりお詫びなんていらないから、今日は帰ろう!!!」
チンゲン「ふひひひ。大丈夫大丈夫。」
クリビーはゾッとして一旦立ち止まりましたが、チンゲン君はどんどん先に行ってしまいます。
クリビー「ここでチンゲン君を1人にして帰る訳にもいかないし・・・。」
クリビーは勇気を出して、また一歩二歩、チンゲン君を追いかけました。

虫いっぱいブーンブーンの秘密の場所・・・
なんだかとても気になります。
この先にどんな場所が待っているのでしょうか・・・。
つづく
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