【第8話】学校へ行きたくないクリビー#3

おはなし

ジャガイモ太「まあいいや、クリビーは優等生ぶりたい性格だからさ。」

ジャガイモ太、ニンジ、そしてロコロコからチンゲン君のことについて色々と聞かされたクリビー。

どうしてわざわざそんなことを言うんだろう、ジャガイモ太たちの言葉はクリビーにとって、とてもおせっかいにかんじました。

ジャガイモ太「じゃあな!クリビー、友達100人目指して頑張れよ!」

ニンジ「はははは!」

そう言ってジャガイモ太たち3人は笑いながら教室を出て行きました。その後、廊下からニンジの笑い声が聞こえてきて、だんだん小さくなっていきます。クリビーはバカにされたような気分で、すごく嫌でした。

ふと教室の後ろの方を見たら、まだ数人残っている子たちがいました。りんごのリンリン君、タケノコのノッコ君、キュウイのキュイ君、里芋のサットンです。

リンリン「僕も買ってもらったばかりで、対戦するの初めてだから楽しみだよ〜!」

キュイ「じゃあ、この後『チィーッス』を持ってサットンの家に集合するっキュ!」

どうやらリンリン君たち4人は今人気のゲーム機『チィーッス』で遊ぶ約束をしているところでした。クリビーは『チィーッス』を持っていないこともあったし、さっきみたいにチンゲン君もと言ったら断られるのが怖くて、4人の会話に入るのをやめました。

4人の話が聞こえていないかのように振る舞い、クリビーは教室に残ってチンゲン君を待っていました。

やがてリンリン君たちも教室出て行きました。廊下からリンリン君たちの楽しそうな笑い声が聞こえ、やがて小さくなっていきます。リンリン君たちはクリビーに何の意地悪もしていないのに、クリビーはなんだか嫌な気分でした。

クラス替えの発表からここまで色々なことがあって、クリビーはとても疲れてしまいました。

クラスの子たち全員と友達になりたいというクリビーの理想は崩れ、今は急に自分が独りぼっちになってしまった気分でした。

そして自分の考えは間違っているのか不安になりました。

クリビー「(ロコロコはあんなこと言ってたけど、みんなしてチンゲン君を避けるのはやっぱり良くない気がするよ・・・)」

教室に残っているのはクリビー1人だけになりました。

クリビー「(まだかなぁチンゲン君・・・)」

シーン。

教室はとても静かです・・・

ガチャン!

クリビー「わー!」

急に大きな物音がしたかと思うと、教室の後方の掃除用具入れのトビラが開き、チンゲン君が飛び出して来ました。

クリビー「ギャ〜!!!ビックリしたぁ!チンゲン君、おどかさないでよ!!!」

チンゲン「・・・」

チンゲン君はクリビーの方へ近づいてきました。さて、チンゲン君はいつから隠れていたのでしょう?

クリビー「君のこと待ってたんだよ!いるならそう言ってくれればよかったのに〜!」

チンゲン「・・・クリビー、オイラたち友達になるのやめよう。じゃ、さいならさいなら。」

クリビー「え!?どういうこと!?あ、ちょっと待ってよチンゲン君ー!!!」

そう言ってチンゲン君はピューッと走って、1人で帰ってしまいました。

クリビーは本当にもう訳がわかりませんでした。チンゲン君のことを思って待っていたのに、いきなり、友達をやめられてしまうなんて、、、クリビーにとって初めての経験でした。

クリビー「ぐずん・・・。」

ワァーン・・・

ショックで涙が溢れてしまったクリビーでした。

クリビー「チンゲン君、どうして???意味がわからないよ・・・。」

クリビーはついに1組の教室で一人ぼっちになってしまいました。

ふと、2組になったモモビーとネギーンのことを思いました。

2組の教室にはまだ何人か生徒が残っているようです。クリビーはそっと、隣の2組の教室を覗いてみました。

モモビーも、ネギーンも、2組で新しい友達ができ、楽しく話しているようでした。

クリビー「邪魔するのは悪いよね・・・。」

そう思い、モモビーたちに声をかけるのはやめました。クリビーは仕方なく、1人で帰ることにしました。

1人で帰る学校の帰り道、クリビーは自分の気持ちがよくわからなくなりました。自分はただみんなで仲良く過ごしたいだけだったのに、クラスメイトはチンゲン君を仲間外れにするし、チンゲン君はクリビーと友達をやめようと言うし、現実は思い通りになりません。

そして、モモビーとネギーンが他の友達と仲良くしているのを見て、なんだか喜べない自分がいました。2人が自分から離れる淋しさや、2人が楽しそうで羨ましく思う『嫉妬』の気持ちがありました。

クリビーはこれまでになく、もやもや、ぐずぐず、くよくよしていました。

クリビー「(友達って何なんだろう。友達はたくさんいればいるほど楽しいものだと思ってたけど、違うのかなぁ。はぁ・・・明日も学校かぁ。明日から僕はどうしたらいいんだろう。)」

クリビーは友達と上手く付き合う自信がなくなりました。明日学校に行っても独りぼっちになってしまう気がして怖くなりました。

そうやってクリビーがトボトボと歩いて帰っている頃・・・

トマオ「なぁ、モモビー、さっき廊下を歩いてったクリビーの顔、見た?」

モモビー「え?クリビー?見てないよ!ていうか、クリビーが帰ったの、気づかなかった!」

ネギーン「僕も気づきませんでした!どうしたんですか?」

トマオ「なんかすげぇ暗〜い顔してたぜ?なんかあったんかな?」

モモビー「マジか!早く、追いかけよう!」

こうしてモモビーとネギーンは急いで帰り、クリビーを追いかけました。

そして、あの、おはなしの最初の場面へ繋がります・・・。

しょんぼりと悲しい顔をして歩いているクリビー。

後ろから、モモビーとネギーンが追いつき、声をかけますが、返事がありません。

つづく

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