【第6話】学校へ行きたくないクリビー#1

おはなし

今、クリビーは学校からの帰り道を歩いています。

え?クリビーたちも学校に行ってたの?

そうなんです。

実は、やさい星の子供たちも学校に行っているのです!

でも、とてもお休みが多くて、学校に行く日は1週間に4日だけなんだ。

月曜、火曜は学校があって、

水曜日はお休み。

そしてまた木曜、金曜は学校があって、

土曜、日曜はお休みだよ。

やさい星では勉強しなきゃいけないことがとても少ないから。羨ましいね!

そう、それより、クリビーの表情が気になるよね?

いつも明るいクリビーが、今日はなんだかとても悲しい顔をしています。

そんなクリビーを見つけたモモビーとネギーン。2人の前をトボトボと歩くクリビーに声をかけました。

モモビー「おーい!クリビー、どうしたんだよ!」

ネギーン「顔色が良くないですよ、具合でも悪いんですか?」

クリビー「・・・」

いつも仲良しのモモビーとネギーンが話しかけても、クリビーは下を向いたまま返事をしません。

今日はとてもお天気なのに、クリビーの周りにだけ、雨が降っているようです。

一体、なにがあったのでしょう。

それでは、ちょっと時を戻して、

今日、学校が始まった場面から見てみましょう!

・・・

今日は月曜、時刻は、午前8時30分を過ぎた頃・・・

クリビー、その他、たくさんの生徒たちが学校の体育館に集まっていました。

なんと、クリビーたちは今日から一つ上の学年になります。今日は『クラス替え』の日だったのです。

体育館の前の方に、大豆のマーメ先生と、大根のダイコーン先生が立っています。

マーメ先生「みんなー!もう時間よー!静かにしないとクラスの発表ができないわよー!」

ダイコーン先生「おーい!静かにしろー!」

ダイコーン先生が声を張り上げると、おしゃべりしていた生徒たちがピシャリと静かになりました。

マーメ先生「コホン!それでは、クラス分けを始めます。名前が呼ばれたら、先生の前に並んでね。」

クリビーはドキドキしていました。

今までモモビー、ネギーンと同じクラスだったので、次もこの2人と同じクラスになるよう願っていました。

クリビーだけでなく、他の生徒たちもドキドキしている時間でしょう。

マーメ先生「クリビーくん!」

クリビー「・・・はい!」

クリビーはマーメ先生に呼ばれたので、1組になりました。

ダイコーン先生「モモビーくん、それにネギーンくん!」

クリビー「え!?」

モモビーとネギーンはダイコーン先生に呼ばれたので、2組になりました。

モモビー「クリビー!クラス別れちゃって残念だな!」

ネギーン「クリビ〜!淋しいですけど、僕たちの友情は変わらないですよ!」

モモビーとネギーンはクリビーに声をかけ、ダイコーン先生の前に並びました。

クリビーは自分だけクラスが分かれてしまいショックでした。でも、そんなことで落ち込んでしまう性格ではありません。

クリビー「2人とも、ありがとう!そうだね、また学校以外でも遊ぼうね!」

クリビーは持ち前の元気さを出してそう答えました。そして心の中でこう思いました。

クリビー「(きっとこれから新しい友達ができるんだ!そう考えたら、とっても楽しみ!)」

この時のクリビーはクラス替えの結果を前向きに考えていました。勇気を出して、新しい友達を作ろうと張り切っていたのです。

クラス替えの発表が終わり、生徒たちはそれぞれの担任の先生と一緒に教室へ移動しました。

マーメ先生「はーい!みんな、教室に入ったら黒板に貼ってある座席表を確認してね!席は先生がくじ引きで決めました。自分の名前が書いてある席に座るのよ〜。」

クリビーは1組の教室に到着し、座席表を確認しました。

クリビー「うわっ!一番前の席だ〜!しかも先生の目の前・・・」

クリビーは自分の机を見ると、その隣の席にチンゲンサイの少年が座っていました。

クリビー「はじめまして!僕はクリビー。君の名前は?」

???「オイラ?オイラの名前はチンゲン。」

クリビー「チンゲン君だね!今日から隣同士、よろしくね!」

チンゲン「・・・よろしく。」

チンゲン君というその子は、恥ずかしいのか、口数少なく、そう答えました。

クリビーはちょっと不思議に感じましたが、もう少しチンゲン君に話しかけてみました。

クリビー「僕たち前は別のクラスだったね!友達なるの初めてだね。」

チンゲン「・・・友達になる?誰と?」

クリビー「え!君だよ、チンゲン君と僕!」

チンゲン「友達・・・?オイラが?」

クリビー「そうだよ!面白いなぁ、チンゲン君!今、君と話してるのに、君以外に誰がいるのさ?わははははは。 」

クリビーは笑いつつ、ちょっと変わったチンゲン君の返事にヒヤヒヤしました。チンゲン君はクリビーのことをじーっと見つめ、少し間を置いてこう答えました。

チンゲン「・・・わかった。ありがとう。」

わかったと言うチンゲン君ですが、本当にわかったのかな?クリビーにとって少し心配に思う会話でした。

その間、他の生徒たちも次々と自分の机へと着席してゆきました。

クリビー「(ふふふ、今回もマロンちゃんと同じクラスだぁ〜!でも、後ろから見られてると思うとちょっと恥ずかしいな・・・)」

教室がざわつく中、クリビーはそんなことを思いました。

マーメ先生「コホン!みなさん、静かに〜!全員揃いましたね。それでは、これから1人ずつ自己紹介をしてもらいます。」

マーメ先生が言うには、『名前』と何でもいいから『一言』を言うようにとのこと。例えば好きな食べ物とか、自分の趣味・特技とか。

よくあるクラス替え後の自己紹介の流れです。ところが、この自己紹介の時間に衝撃的な事件が起こります・・・。

マーメ先生「えー、まずは、りんごのリンリン君、お願いします!」

リンリン「はい!」

リンリン君はその場に立ち上がり、自己紹介を始めました。

リンリン「はじめまして、僕はリンリンです・・・!好きな食べ物はアップルパイです。」

リンリン君はもの凄く緊張して顔が真っ赤になっていたようですが、りんごだから元々赤いのでそこまで緊張しているように見えませんでした。

パチパチパチ!教室のみんなが拍手をします。

・・・

こうして次々と自己紹介が進みました。

クリビー「はじめまして!クリビーです。僕は1組のみんな全員と友達になって楽しく過ごしたいです!」

クリビーは勇気を出してそんな一言を言いました。

パチパチパチ!

拍手をもらったクリビーは一先ずホッとして席に座りました。

自己紹介はどんどん続き、次はチンゲン君の番になりました。

クリビー「(さっき話したチンゲン君、一言は何にするのかな・・・?)」

つづく

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