ある日の午後。
クリビーは、同じクラスのブロッコリーのロコロコ、グリンピースのグリンピーと広場で待ち合わせをしていました。
普段あまり見ることのない3人組です。
実は、これは学校の『社会』の宿題のために、くじ引きで決められたグループだったのです。
クリビー「2人とも、今日はよろしくね!」
グリンピー「うん!こちらこそ!取材、頑張ろうね!」
ロコロコ「そうだね!それじゃあ、早速出発しよう!」
今クリビーたちのクラスでは、社会の授業で、自分たちの住んでいる地域のことについて勉強しています。
そして、一週間後の、次の授業までの宿題として、町のお店や施設について、グループごとに取材をしてくることになりました。
クリビーたちのグループの訪問先は、この町で一軒しかない、歯医者さんになりました。
グリンピー「はぁ・・・正直、僕アイスクリーム屋さんの取材の方が良かったなぁ。トマ子ちゃんたちのグループが羨ましいや。」
クリビー「僕も、お寿司屋さんの取材が良かったなぁ・・・。行けばお寿司のお土産が貰えるってウワサだし。」
グリンピー「・・・それにさ、今日行く歯医者さんって、とっても評判が悪いよ。これはママから聞いた話だけど、あそこに行ったら歯を全部抜かれて偽物の歯に変えられちゃうんだって・・・。」
クリビー「ひぇ〜・・・。それって本当なの?」
グリンピー「う〜ん、あくまでもウワサだけど・・・。あそこの歯医者の白菜のハク先生は、動物とか魚の歯の標本を集めるのが趣味で、患者さんの歯も集めてるんじゃないかって・・・。」
クリビー「うげぇ〜、それは怖すぎるね・・・。僕、普通の歯医者だって苦手なのに、特に虫歯を削るときのキーンっていうドリルの音とか・・・。それを、そんなに怖い先生にやられると思うと・・・。」
グリンピー「はぁ〜、やだやだ、なんで僕たちがその歯医者に行かなきゃならないんだ・・・。」
ロコロコ「文句を言っても時間のムダだよ。それも、くじ引きで決まったんだから。仕方ないさ。サクサク効率的にやるべきことを進めよう。」
クリビー「・・・確かに、そうだね。」
ロコロコは頭の回転が良い少年です。いつも効率的に物事を進めようとします。やや理屈っぽい考え方で、それが気に触る人もいることでしょう。
グリンピー「着いたね・・・。」
クリビーたち3人は話してるうちにすぐに目的地まで着いてしまいました。
クリビー「ギャー!ここぉ!?ここが本当にその歯医者さんなの!?」
クリビーは訪問予定の歯医者さんの建物の外観を見て、驚いて叫びました。

その建物の雰囲気に圧倒され、クリビーたち3人はしばらく無言になりました・・・。
グリンピー「・・・覚悟はしてたけど、本当にお化けの城みたいだね。」
クリビー「ねぇ、もう一回聞くけど、こんなところが本当に歯医者!?僕たち、妖怪退治に来たんじゃないよね?」
ロコロコ「・・・これは、思ったより、なかなかな外観だけど・・・ここで立ち止まっていても仕方ない。さぁ、行こう。取材は手短に済ませよう!」
クリビーとグリンピーはロコロコの言うことに賛同してウンと頷き、覚悟を決めました。
クリビーたち3人は歯医者の入り口に続く長い階段を登り、扉の前まで来ました。

クリビー「この扉もなんだか怖いデザインだなぁ・・・。」
ロコロコ「・・・さぁ、中に入ろう。」
ギィィィ・・・・・・
ロコロコは恐る恐る大きな扉に体重をかけ、ゆっくりと押し開けました。
???「来たなァ・・・?いらっしゃーいィ・・・。待っていたぞォ・・・。」
ギャーーーーーー!!!

。、クリビーたちが建物の中に入ると、なんと、扉の奥に、光る三つの目のモンスターのような大男が現れたのです。
クリビー「うわああああああ〜!!!逃げろ〜〜〜!!!」
あまりに驚いたクリビーたち3人は、とっさにその場から逃げ出しました。
3人はさっき登ってきた階段を駆け降り、とにかく遠くまで走り続けました・・・。
クリビー「ハァ・・・ハァ・・・、ここまで来れば、もう大丈夫だね・・・。」
ロコロコ「・・・はぁ、はぁ、、、僕もビックリしたよ。グリンピーくん、魂が抜けちゃってるけど、大丈夫?」
グリンピー「・・・ダ、ダイジョウブ。」

クリビー「・・・怖くて逃げてきちゃったけど、もしかして、あの入り口で会った人が歯医者さん?」
ロコロコ「・・・そうだと思う。」
クリビー「えー・・・。」
ロコロコ「僕としたことが、何も計画しないでいきなり訪問してしまったね。まぁ子供の簡単な宿題だと思ったから気軽に考え過ぎたよ。」
クリビー「子供の宿題って、、、(ロコロコだって子供じゃないか。)」
ロコロコ「・・・一旦、僕の家で計画を立てよう。事前にあの歯医者のことを調べて、インタビューの時間を最小限にするんだ。あんな恐ろしい場所、長居はしたくないからね。宿題も効率的に進めよう。」
クリビー「なるほど、僕もロコロコに賛成だよ!」
グリンピー「ぼ、ぼくも・・・。」
ロコロコ「じゃあ、早く家へ行こう!パソコンがあるから、まずはあの歯医者のホームページで情報収集をしよう。」
・・・
ということで、クリビーたち3人はロコロコの家に向かいました。
家に着くと、ロコロコはパソコンのスイッチを入れました。
ロコロコはパソコンを使うのが得意です。インターネットで調べたことや、考えたことを、文章にまとめるのも得意です。
ロコロコ「あった!これを見て・・・。」

ロコロコのパソコンの画面を見ると、『ハク歯科医院』のホームページが映っていました。
クリビー「えー、これがさっき会った歯医者さん?こんなに爽やかな人だったっけ?」
ハク歯科医院の医院長である歯医者さんは、白菜のハク先生という人でした。ホームページには明るくて爽やかな印象のハク先生の顔写真が載っていました。
また、この歯医者があんなお化け屋敷のような空間だということも感じさせない、ちゃんとした普通のホームページでした・・・。
ロコロコ「ホームページは患者さんにとって印象がいいように作ってるんだね・・・。」
クリビー「それにしても印象が違い過ぎる・・・。これって、詐欺って言うんじゃないの?」
ホームページを見た3人はまたも驚きのあまりしばらく無言になりました。
クリビー「・・・ねぇ、2人も見たでしょ?僕、ハク先生のこと、お化けか怪物かと思ったよ・・・それにあの不気味なお城・・・また行かなきゃいけないと思うと嫌すぎて仕方ないよ・・・」
ロコロコ「同感だよ。あの暗さに不気味さ、僕も想定外だったさ・・・。」
グリンピー「・・・と、とりあえず、ホームページに書いてあることは取材しなくていいから、それ以外に質問することをメモしていこうよ。」
ロコロコ「そうだね。事前に聞くことをまとめておいて、上から順に質問していけばインタビューもすぐに終わるさ。それと、、、。」
ロコロコは、ある提案をしました。
ロコロコ「それと、僕たちグループではあるけど、それぞれ役割分担をして宿題を進めないか?」
クリビー「やくわりぶんたん?」
ロコロコ「そう。わざわざ3人で同時に同じことをするより、1人ずつ違う仕事を手分けしてやった方が早く終わるし、効率的だ。」
クリビー「確かに!ほんと、ロコロコは頭がいいなぁ。ロコロコと同じグループで良かったよ!」
ロコロコ「こういうのはどう?①取材に行く人、②宿題のレポートを書く人、③発表する人の3人に分ける。それぞれ、自分の担当のところだけやれば済むから楽になるよ!特に、取材に行くのも1人で済むから、わざわざ3人とも怖い思いをしなくて済むよ。」
グリンピー「たしかに!僕もその役割分担に賛成!」
クリビー「僕もいいと思う!・・・でも、誰が取材に行くの?」
ロコロコ「そこは、公平に、じゃんけんで決めよう!」
クリビーは少し考えました。じゃんけんで勝つ確率は2/3です。
つづく
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