【第18話】最後の海#1

おはなし

7月に入り、ずっと暑い日が続いています。

今年は梅雨明けが早かったこともあり、6月からもう夏が始まっているような感覚でした。

クリビーたちの世界でも、今年は猛暑だと言われています。それくらい、毎日毎日暑くて暑くて、エアコンなしでは汗が止まりません。

さて、クリビーたちの学校は、もう夏休みに入っています。そもそも週4日しか学校がないのに、更に夏休みもあるなんて!やさい星の世界は羨ましいですね。

今日は、あのナスビー博士が、クリビー、モモビー、ネギーンの3人を海に連れて行ってくれるという約束の日です。

ナスビー博士は子供たちを車に乗せ、海に向かっています。

マルナス助手も、博士が声をかけたのか、車に同乗しています。

クリビー「それにしても、博士、この車、カッコいいし、広いし、乗り心地もいいし、一体どうしたの!?」

ナスビー「ハハハ、やっぱりそう思うか?こいつはな、今大人気の、高級車なのだ!」

クリビー「えー!?博士って、そんないい車買えるほど、お金持ちだったの!?」

ナスビー「まあな、実はこの車はレンタカーなのだがね。」

モモビー「レンタカー?ってなんだ?」

ネギーン「借りた車のことですよ!数時間とか1日単位で、車を貸してくれるお店あるんです。」

モモビー「な〜んだ、博士が買ったんじゃないのかぁ。」

ネギーン「でも、高級車のレンタカーだとすると結構高いのでは???もし、ぶつけたりしたら、修理費も高いですから、保険料も高いはずです・・・。」

ナスビー「ハハハ、ネギーンはよく知ってるな!ま、子供はそんなこと心配しなくていいさ!私は余裕のある大人なのだ。」

ネギーン「(・・・なんか、怪しいですね。)」

ネギーンとモモビーは車の後ろの席でヒソヒソと話ました。いつもはケチな博士が、レンタカーをしてまで見栄を張るなんて、何かあるに違いないと・・・。

モモビー「(おっさん、変な形のサングラスなんかしちゃって、イキってんなぁ・・・。)」

ナスビー博士が乗る車にしては、ちょっとカッコつけ過ぎやしないかと、早速、違和感を感じている子供たちでした。

ネギーン「それにしても、どうしてナスビー博士は僕たちを海に連れて行ってくれるんですか?また何か裏があるのでは・・・?」

ナスビー「ハハハッ!ネギーンも言うようになったな!まぁ、残念だか今回は何の企みも裏もないのだ。」

ナスビー博士はそう言い、今回、海に行く目的を説明してくれました。

ナスビー「実はな、ここだけの話、マルナス以外まだ誰も知らない、すごい発明品が完成したのだ!それを特別にだな、君たちに試させてあげようと思ったのだよ。」

ネギーン「発明品をですか!それは、海で使うものなんですか?」

ナスビー「そうとも!海で使うのがピッタリの発明さ!ふふふ、君たち、きっと驚くぞぉ〜!」

ナスビー博士は車を運転しながら、ニヤニヤして言いました。

モモビー「まぁ、これまでの話の中で、おっさんが発明してる様子は一切登場してないからな・・・。博士のキャラなんだから、そろそろ何か発明しなきゃな!」

クリビー「同感だよ。」

ナスビー「そう簡単に言うな!私は暇なように見えて、日々、試行錯誤をして、とても忙しいのだ!長い年月をかけてだな、やっと1つの発明が完成するんだぞ!」

ネギーン「漫画なんですから、もっと気軽にバンバン発明品が出てきて欲しいんですけどね・・・。」

ナスビー「ネギーン!それを言うな!」

マルナス「ぐがー、ぐがー。」

道中、車の中は常に会話で賑やかでした。マルナス助手は昨日までの疲れが溜まっていたのか、イビキをかいて寝てしまっていました。

・・・

出発して30分くらい経ちました。車は市街地を抜け、高速道路に入りました。

ナスビー「海までここから2時間だ。途中、大きなサービスエリアがあるから、そこで少し休憩しよう!」

「はーい!」

クリビー、モモビー、ネギーンの3人は元気よく返事をしました。

子供たち3人とも、今年は初めて海に行きます。

今回、行く場所はナスビー博士が言うに、『穴場の』海水浴場だとか。

ナスビー「さぁ、サービスエリアに着いたぞ!」

一行は車から降り、売店で軽食や飲み物を買って休憩スペースに集まりました。

クリビー「モモビー、今そんなに食べて大丈夫???海に着いたら、『海の家』で昼ごはんを食べるんだよ!」

モモビー「モグモグモグ・・・大丈夫!泳いだらすぐ腹減るって!」

ネギーン「モモビーは食いしん坊ですね。ところで博士、今日行く海水浴って何ていう名前なんですか?」

ナスビー「ふふふ、秘密にしていたが、もういいだろう!知るぞ知る魅惑のビーチ、『スナスナ海水浴場』だ!!!」

ネギーン「スナスナ海水浴場???・・・聞いたことないです。」

聞いたことのない海水浴場の名前を聞かされた子供たち。クリビー、モモビーはともかく、物知りのネギーンすら知らない場所でした。

つづく

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